図書館総合展参加レポート(その1)

先日参加した「図書館総合展」第1日目のフォーラムの記録や感想を、ようやく、まとめ始めたところです。果たして、参加したしたフォーラムすべてについて書けるかどうかわからないのですが、とりあえず、レポートの「その1」です。*1
個人的なメモを組み立てた直して整理したものなので、発言の順番が実際とは違っています。また、個人的な関心の度合いなどにより実際の発言の内容と異なる点もあるかと思いますので、ご了承ください。


公共図書館への公文書管理法の影響:地域住民への情報サービスにおける公文書の価値(講師:独立行政法人国立公文書館長 高山正也先生)


□ 公文書管理法について

  • 平成23年4月、「公文書管理に関する法律」(公文書管理法)施行される。この法律は、平成21年6月24日成立。日本には、それまで公文書について規定した法律がなかった。現在、施行に向けて準備中。
  • 平成13年4月、「情報公開法」施行。この法律は、行政機関の情報管理のあり方を規定したもので、業務に従って作られた文書を公開する時にどうするかが主眼。
  • 公文書のあり方については、平成15年から検討を行なってきた。


□ 公文書管理法の内容
(1)現用・非現用を通じた統一的な公文書管理の促進

  • 公文書は原則公開
  • 利用の請求権化
  • 文書管理の最終責任者を、各大臣から総理大臣に変更

(2)移管制度の改善

  • 行政府、司法府、立法府の重要な歴史資料はすべて移管することにしたが、立法府資料については、議員の反対もあって、うまくいっていないのが現状。

(3)コンプライアンス確保の仕組みの整備

(4)外部有識者の知見の活用

  • 公文書管理委員会の新設

(5)歴史公文書等の利用促進

  • 歴史研究家、行政官 → 一般国民(主権者)への情報提供
  • 資料の閲覧・提供 → 史資料の説明・解説へのサービスの拡大


□ 国立公文書館の現状


□ 公文書館の新環境への対応
(1)行政刷新への対応(行政刷新担当大臣の管轄下にある)
(2)デジタル環境への対応

  • 収集対象の多様化(紙→デジタル)
  • データの記述(メタデータ

(3)移管交渉中心からの脱却

  • 現在は資料の移管交渉が業務の中心だが、利用の拡大とサービス内容の質的高度化という、利用サービス中心への転換を図りたい。


□ 最近の公共図書館の傾向  
公共図書館職員の意識改革が必要。今、図書館員は何をすべきか?
(1)「中小レポート」からの脱却(=無料貸本屋に明日はない!)

  • 蔵書構成を評価した上で、貸出冊数が多いことを評価するのは良い。ただし、貸出冊数の多さだけで図書館を評価することに対して、疑問を感じている。
  • リクエストサービスは利用者要求への無条件な迎合であり、図書館員としての責任放棄ではないか?

(2)公務員身分への執着からの脱却(=年功序列から職能中心へ)

  • 新しいサービスを何かやらなくてはいけない場合、「○○の恐れがある」と反対。ほぼ100%つぶされる。問題発生の可能性があれば、やらないのが現状。
  • 経営面から見ると、業務の合理化・効率化や専門職の育成が不可欠にも関わらず、現場や図書館団体は、従来の職務執行体制を維持しようとし、改革を嫌がる雰囲気があるように思う。 

(3)図書館サービスは主権者への奉仕

  • 自治体住民の「公益性を重視」
  • 公共図書館は、パーソナルな利益に対応するのではなく、自治体住民の公共図書館利用権を重視すべきでは?

□ 公共図書館への公文書管理法の影響 

  • 公文書管理法の成立時の付帯決議があり、無視できない。衆議院:15項目、参議院:21項目。例えば、公文書館と図書館の併設への対応など。
  • 公共図書館はほぼ100%教育委員会の所管だが、地方公文書館の所管は教育委員会が38%で首長部局が62%。
  • 公文書館では、情報サービスが悪いと、異議申し立てが発生する可能性がある。図書館サービスは行政サービス。基本対応の相違で、混乱が生じないか?
  • 公共図書館は、郷土資料・行政資料の収集と利用をもっと重要視すべきで、そのためには、公文書館との連絡を密にしていく必要がある。
参加しての感想など

フォーラムのタイトルから、公共図書館公文書館との連携とか、公共図書館における行政資料サービスが中心になるかと思っていましたが・・・。
国立公文書館に来て5年目。その前は図書館にいた。つい、図書館の立場で物事を考えてしまうが、今日は公文書館の立場で図書館を見ての考えを述べたい。」ということで、高山先生の話は、公共図書館の「貸出至上主義(?)」「守旧派主義(?)」という現状への批判がありました。
公文書館の側から公共図書館を見ると、まだまだ図書館は恵まれた環境にあって、図書館職員は努力が足りないのではないか、と受けとめたのですが、参加された他の公共図書館の方はどのような感想を持ったのでしょうか。
それから、比較表やグラフで示された公文書館の現状は、思っていた以上でした。「予算規模が小さいから、“仕分け”の対象にもならない」という発言を聞いて、公文書館について、国は早急に手を打たないと大変なことになるかもしれないと思いました。「予算交渉のためにも、理論武装が必要と考えている。」とのことでしたが、これは、図書館にもあてはまると思います。
「公文書管理法」について、公共図書館職員も知っておいた方が良さそうです。

*1:「その2」と続くか、かなりアヤシイ状況なのですが、「今日のところは「その1」としておきます。