図書館総合展参加レポート(その2)

図書館総合展第1日目の参加レポート「その2」は、午後のフォーラム「長尾構想」への図書館界・出版界のまなざし−長尾真と湯浅俊彦の論点整理−」です。
今回のレポートも、講師お二人の発言について、個人的に気になったこと+関心のあったことのメモをおこしたものです。私が聞き取れた範囲でのメモなので、実際の内容と違っている部分もあるかもしれませんが、ご了承ください。

「長尾構想」への図書館界・出版界のまなざし−長尾真と湯浅俊彦の論点整理−(講師:国立国会図書館長 長尾真、夙川学院短期大学准教授 湯浅俊彦)
  • 館種によって、電子資料・ネットワーク系情報源に対する取り組みに相違がある。公共図書館では、利用時間に制限があったり、利用できる端末が限られているなど制限付きでの提供で、あまり活用できていない状況にある。→ 公共図書館における電子書籍の提供環境が課題か?
  • 「電子出版物流通センター」について。電子書籍流通促進のためのセンター。国会図書館が持つ電子データをセンターに無償で提供し、センターは利用者から料金をとり、権利者に分配する。センターは出版社の連合体が良いと考えている。利用料金についても、出版社、権利者が個々に決めていく。センターを維持するための最低限のコストのみをセンターがとる。
  • ダウンロードという形で無料提供する場合は、かなりの利用料金を支払わないと出版社がダメージを受けることになるので、国の補償が必要か。韓国では、国が補償金を支払っている。(「国が係わることに反対する人は?」という会場アンケートに対しては、反対はゼロでした。)
  • (会場からの「公共図書館では直営ではない施設が増えているが、どちらが運営しやすいと思うか。」という質問に対して)たくさんの情報の中から適切な情報を探し出して提供するのが、司書のレファレンスサービスの役目である。委託か直営かという設置主体ということよりも、司書がどれだけ学んで、最良のレファレンスサービスを提供していくかが課題ではないか。
  • (前の質問を受けての、会場からの「委託の入札は1円でも安いところに決まり、業者が変わることで業務の断絶が起こることがあるが、これについてはどう考えるか。」という質問に対して)入札の仕様書に、図書館が期待しているスペックをどこまで書き込めるかが課題か。一方で、同じ業者が長期間、というのも問題か。
  • 電子図書館の理解や議論は、1年前よりも格段に進んでいる。数年後には双方(図書館界、出版界)がハッピーなシステムができるのではないか。
参加しての感想など

かなり広めの会場でしたが、ほぼ満席だったようです。
私は前の座席だったため、「アリアドネ」の紹介画像もしっかり見ることができました。
それにしても、長尾館長は、このフォーラム以外にもあちこちに出没(?)していたようですね。この後のフォーラム「『本』の未来をめぐる若手パネルディスカッション」の会場にも来ていたようですし、昨晩の「U40 - Future Librarian 2010 ストラテジーセッション」*1を途中からUstreamで見ていたら、そちらの会場にも長尾館長のお姿が! 個人的には、長尾館長の
「忘れないと新しいことが考えられないので、大いに忘れるようにしている。」
というフォーラムでの発言が、実は一番ひっかかっているのですが(笑)。
このフォーラムでも、公共図書館−委託か直営か−が話題になるとは思っていませんでした。公共図書館では、直営ではない千代田図書館電子図書館のサービスを行っていますし*2、そのほかの公共図書館でも、電子書籍の実験的な動きが見られます*3
公共図書館電子書籍の導入には、提供するコンテンツとか、利用方法とか、アクセス数とか、導入にあたっての経費とか、そもそも利用者のニーズがあるのかなど、いろいろ課題が多いと思っています。もしかしたら、一番の課題は、午前中のフォーラムの高山先生の発言にもありましたが、図書館の中の職員がどう動くかなのかもしれません。
この先、電子書籍関係がどう動いていくのか全く予測がつきませんが、公共図書館では電子書籍をどう取り扱っていくのかを考えながら、動向については注視していく必要がありそうです。