『出版大崩壊』

出版大崩壊 (文春新書)

出版大崩壊 (文春新書)


山田順著『出版大崩壊−電子書籍の罠』(文春新書)を読みました。
本の帯に大きく

某大手出版社が出版中止した「禁断の書」

とありますが、私自身は、出版不況の中で電子書籍対応に追われる出版社の状況やメディアをめぐる現状をまとめた本として、興味深く読みました。
日本における電子書籍ビジネスの問題点について、電子書籍のフォーマットの多様性とタイトル数の少なさという著者の指摘も、その通り、だと思います。その他にも、自分が何となく感じていたことの指摘も多かったです。

旧世代の人々は、若者が本や新聞を読まないというと「活字離れが進んでいる」などと嘆いてみせる。しかし、紙の本や新聞を読まなくなった若者たちは、昔の若者たちよりはるかに大量の活字(文字)情報に、ネットを通じて接している。また、毎日必ずといっていいほどメールを書いているはずで、これほど若者たちが文字を使っていた時代はかつてなかっただろう。つまり、活字離れなど起こっていない。起こっているのは、「紙離れ」だけだ。(p.57〜58)

ネットの情報はフリー(タダ)が当然と思うユーザーは、どんなモデルであろうと、課金されるとなるとあっさり去っていく。(p.168)

オンライン生活というのは、ひと言で言えば「忙しすぎる」ということにつきる。リアルとヴァーチャルの境目がなくなると同時に、仕事と私生活、あるいは余暇の境目がなくなり、どこまでが仕事で、どこまでが私生活なのかわからなくなる。(p.250)


電子書籍は、今後、普及していくとは思っていますが、電子書籍リーダー、コンテンツ、著作権など、いろいろ課題があり、それらは出版界だけの問題ではなさそうです。
そして、情報が溢れている現代社会で、各個人が情報をどう選択していくかという「情報リテラシー力」が、ますます重要になっていくと思いました。