報告会「東日本大震災の復興支援−図書館支援に求められていること−」に参加しました(その2)

昨晩のエントリー*1に引き続き、先週、7月13日(水)の午後に国立国会図書館東京本館で開催された、報告会「東日本大震災の復興支援−図書館支援に求められていること−」の、「4 パネルディスカッション」の部分についての、個人メモのまとめです。
以下は、参加者の一人が、職場の報告作成用の個人メモをもとにまとめたものです。私自身が聞きとってメモした範囲の内容になりますので、漏れやニュアンスが違う点があるかもしれませんが、ご了承ください。

4 パネルディスカッション

被災地のニーズとのマッチングの問題、ネットワークの構築の必要性、図書館職員がライフラインの復旧に回るため、図書館活動がストップしてしまう等の、これまでの支援から見えてきた課題、問題点等について、報告者からの意見(発表の細くなど)が述べられたました。当初の予定では、「必要な支援とは何か」「今後の備え」等について、パネラーのディスカッションが行われる予定だったようですが、時間切れ。パネルディスカッションが始まったのが午後4時過ぎでした。各パネラーが意見を述べる(各自の報告の補足)に止まりました。

  • 岩手県立図書館は被害が少なかったので、すぐに支援側に回ることができたが、現地では図書館どころではない状況だった。また、物流がストップしたことで、身動きがとれなかった。情報もなかなか入ってこなかった。いろいろな支援が行なわれていたことが、今日、わかった。時間がかかっても、被災者に直接会って、話を聞くのが大事。ただし、震災直後はそれどころではないので、タイミングが難しい。(岩手県立図書館・酒井館長)
  • 自館の被害への対応が最優先で、被災地の状況の把握どころではなかった。沿岸部で、通信網が切断されて、連絡がとれなかった。被災地でも、図書館どころではない状況。ガソリンもなかった。現地の状況把握は、4月26日から、被害の少なかった内陸部から行い、沿岸部は後にした。情報を的確に把握することが重要。支援の情報は、県立図書館には入ってこなかった。(宮城県図書館・和賀さん)
  • 文科省ポータルサイトについて、これに図書館を入れられないか。また、情報を収集し、共有化することが大切。ミスマッチの問題については、体制作りなど、組織としてやる必要があるか。(日図協・松岡さん)
  • そもそも、適切なマッチングは無理。行政が崩壊した所との支援のマッチングは無理。本を送るのは善意の押し付けで迷惑。支援物資として何を送ったら困るかを切り分けることで、トラブルの解消になる。また、これだけ大きな災害が起きれば、組織は機能しないので、既存のものの中にネットワークを置いても、機能しない。有事には個人のネットワークが有効だと思う。(saveMLAK・岡本さん)
  • 誰も回答を持っていないためにミスマッチが生じる。「現地主義」(=現地で必要なことを行なう)が良い。ただし、今回の支援要請で、図書の請求が多かった。図書館に基本として供えるべき本のリストを持っていたほうが良いか。図書と一緒にMARCデータの提供して欲しいという要請もあった。また、BMの要請もあった。BMは資産になるので運用経費がかかるが、運用経費を被災地に負わせるわけにはいかない。BMのデータベースを作り、お互いに貸出しあうのはどうか。(図書館振興財団・石川さん)
  • 無料で本を送ったのが、地元にとって良かったことだったか。図書カードを送ったことは、地元経済の復興支援につながるかと思う。震災直後にインクと紙がなくなったが、出版社によって、インクと紙が少しずつ異なっていることがわかり、インクと紙の共有化について検討を始めた。図書館という場所がなくても、住民に対する情報提供など、できることがあったと思う。行政機関の情報窓口に図書館がなることが必要ではないか。(出版対策本部・高田さん)
  • どの時点で図書館機能が復活するのが良いのか。国会図書館として何をすべきかを考えておかなくてはいけない。有事の時(=今回)は、ネットワークが機能しなかった。(NDL・武藤さん)
  • 被災した資料の修復などに、専門のノウハウを持っている図書館の支援が欲しい。物資の支援については、他の団体との住み分けも必要か。その時々で、支援のニーズは変わる。そして何よりも、被災地のことを忘れないで欲しい。(岩手県立図書館・酒井館長)
  • 今回の報告会は、支援を求めるアプローチになったのでは?ぜひ、次の機会を設けて欲しい。(宮城県図書館・和賀さん)

参加しての感想など

東日本大震災について、被災地の図書館の状況や各団体の取組み状況等の情報の共有ができたという点においては、有意義なイベントだったと思います。
今回の報告会の目的が、「被災地の状況確認と課題の共有化=東日本大震災の復興支援を図書館が行うための前提として、現状を把握する」という点では目的は達成されたと思いますが、次回開催の際には、もう少し課題の焦点を絞り、パネルディスカッションのパネラーの人数も絞るなどの工夫が必要ではないかと思いました。また、今回の報告会は公共図書館が主だったとように思いますが、大学図書館等の状況はどうだったのか、報告が無かった他の被災地(福島県茨城県など)の様子はどうだったのかも知りたかったと思います。
今回の報告会では、被災地のニーズと支援とのミスマッチの問題、震災関係情報のコレクションの構築、デジタルアーカイブ構築の必要性など、様々な課題が提示されました。今回の報告会では特に言及はりませんでしたが、原子力発電関係の被災者支援も、重要な課題の1つです。そんな中で、図書館ができることは、まずは情報面での支援(情報発信、資料提供、レファレンス、震災関係のコレクションの構築、デジタルアーライブなど)になるように思いました。もちろん、今後の復興状況によって、蔵書構築やコレクション構築のための支援、サービス提供のための支援、被害を受けた資料の補修、各種研修など、図書館が持つ専門的なノウハウを活用した支援も必要になってくるでしょう。
パネルディスカッションで岩手県立図書館・酒井館長、宮城県図書館・和賀さんも強調されていたとおり、東日本大震災の被災地支援は、長期にわたることが明らかです。そしてどの支援の内容も、時期(レベル)によって変化していくことが予想されます。被災地支援を継続して実施していくためにも、このような報告会を定期的に開催して、状況を確認しあうことが必要だと思いました。

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(2011/07/20 19:15過ぎに修正しました。)
ブログの「日付の変わる時間の設定」が0時になっていたことが原因で、今朝(7/20)書いた本記事の日付が、昨日(7/19)の日付になっていました。このため、記事を再登録をしました。