『計画と無計画のあいだ−「自由が丘のほがらかな出版社」の話』

計画と無計画のあいだ---「自由が丘のほがらかな出版社」の話

計画と無計画のあいだ---「自由が丘のほがらかな出版社」の話


三島邦弘著『計画と無計画のあいだ−「自由が丘のほがらかな出版社」の話』(河出書房新社、2011)、読み始めたら、一気に読んでしまいました。とても面白い本です。
出版社・ミシマ社の社長である著者が、ミシマ社を立ち上げることになった経緯から現在までをつづったノンフィクションというか、エッセイのような内容でした。文章ではさらりと書かれている様々な苦労話は、実際には、とても大変なことだったのではないかと思います。
自由が丘の築約50年の、全室和室の1件屋が会社で、ちゃぶ台を囲んでの企画会議−という、出版社らしくないところが、副題の「自由が丘にあるほがらか出版社」ということだと思います。しかし、実際は、「ほがらか」ではなくて、激動・ハードな毎日なのではないか。それでも、社長である著者をはじめ、社員の一人ひとりの本に対する情熱で、すべてを乗り越えている、そんな気がしました。

 すくなくともぼくは、「本そのものを面白い」と思う人の絶対数増に挑むことから、新しい出版社を始めたいと思った。
 読者にとっての入口はどこだっていい。最終的に本が面白い。体感を通して、それが実感にまで深まるきっかけになるのであれば。ブンダンされる前の「面白い」の原液を薄めることなく、ひたすら濃く、濃く。そうしてできた面白さ100パーセントの一冊が、一人また一人と本の世界へと呼びこむことになる。新たな本好きがこうして生まれる。そう信じて。(p.208)

とあるように、喜んでもらえる本を届けたいという熱をこめた本を、熱量そのまま、あるいは読者へ届けたいという、本についての思いがぎっしり詰まっています。そして、いろいろ大変なことはあっても、まずは、自分から動いてみよう。そんな元気をもらえる本です。


私がミシマ社を意識したのは、あるブログで紹介されていた本がミシマ社の本で、本に挟まれていた手書きの「ミシマ社通信」と「読者はがき」がきっかけだったように思います。この手書きの「ミシマ社通信」と「読者はがき」については、本書のp.121〜127について書かれています。
読み終わって、ますますミシマ社のファンになってしまいました。