「七月大歌舞伎 夜の部」@新橋演舞場

新橋演舞場で行われている澤瀉屋の襲名披露公演「七月大歌舞伎 夜の部」に行ってきました。


真山青果作「将軍江戸を去る」。
上野黒門前での山岡鉄太郎役の市川中車、声がかすれていて、セリフが聞き取りづらい状況でした。「果たして、この後の膨大なセリフのやりとり、大丈夫だろうか?」と不安はあったのですが…。大慈院内での徳川慶喜役の市川團十郎とのセリフの応酬は、意外と聞き取りやすく、必死なところが役とだぶって見えました。初役にしては、良かったと思います。
市川中車香川照之)の46歳での歌舞伎への挑戦は、いろいろなインタビューで本人自身も語っていますが、本当に大変だと想像します。2か月にわたる襲名公演の途中から声がかすれてしまったのは、歌舞伎独特のセリフ回しなど、歌舞伎の発声が他の舞台と異なるからのではないかと思います。市川中車の、この後の歌舞伎への出演予定は不明ですが、次の歌舞伎の舞台を見たいと思いました。


「口上」は、市川猿之助市川中車市川團子成田屋親子(市川團十郎市川海老蔵)の5人だけが舞台に並ぶものでした。海外公演での猿之助との思い出や、市川團子團十郎の娘のところに踊りを習いにきていることが紹介されるなど、澤瀉屋成田屋とのつながりが感じられる、温かい感じの口上でした。


猿翁十種の「黒塚」。
市川猿之助が初役で勤めた老女岩手実は安達原鬼女。第二場の、薄が原での踊りが、曲も美しく、良かったです。


猿翁が、8年ぶりに出演することが話題の「楼門三五桐」。
私を含めて、病に倒れる前の舞台を覚えている人にとって、その舞台姿はまだ弱弱しく、セリフも十分ではない様子は、見ていてつらい気持ちが半分、ようやくここまで回復したかという安堵が半分、というところでしょうか。最後に、左枝利家役の市川段四郎、捕り手風の扮装の坂東弥十郎市川右近など、腰元姿の市川笑也など、猿翁が育てた澤瀉屋の役者が舞台に並びました。
いったん幕が閉まった後、カーテンコールで再び幕が開き、下手から登場してきた石川五右衛門の姿の市川海老蔵市川猿翁が、がっしりと握手をしました。その後、猿翁が左手で合図をすると、後見が前に出て、タレを上げると…。後見をしていたのは、市川中車でした。どよめきで拍手が一段と大きくなる中、カーテンコールの幕が閉まりました。


2か月にわたる襲名公演も、残り数日となりましたが、見ることができて良かったです。(チケットは、かなりの争奪戦だったようです。)



(「口上」の前に登場した、福山雅治監修の、話題の祝幕。)