『自分でやった方が早い病』(星海社新書)

自分でやった方が早い病 (星海社新書)

自分でやった方が早い病 (星海社新書)



本のタイトルにもなっている「自分でやった方が早い病」には、大きく分けて2種類あるそうです。

 (その1) まわりよりも自分がデキてしまうから、自分でやった方が早い。
 (その2) 相手に悪いし、お願い下手だから、自分でやった方が早い。 


パターン(その1)は、「まわりの人に仕事を任せてしまうとじかんがかかってしまうし、仕事のクオリティも落ちてしまう。任せたりお願いしたところで、最後は自分で修正したり、質を上げていかねばならない。そうであれば、最初から自分でやった方が早いじゃないか。」というもの。
パターン(その2)は、「本当は任せたいのは山々だし、お願いすれば自分の仕事が減って、もっと新たなことにチャレンジできる。でもまわりも忙しそうにしているし、お願いしたら嫌な顔をされそうだ。お願いするタイミングもわからない。うーん、困った……。こんなに悩んでいる時間があるなら自分でやってしまうか。悩んでいる時間がもったいない。自分でやった方が早い……。」というもの。


この本の帯に、「デキる30代に多い病気です。」と大きく書いてありますが、30代以降で組織で仕事をしている人ならば、何度かは、この「自分でやった方が早い病」にかかったことがあると思います。(おそらく、私自身も?)

他の人に任せられない、お願いできない、というのは、他人を信頼していない証拠ですし、逆に信頼されていない、ということでもあります。(p.35)

うまくいかない原因を他人のせい、環境のせいにしているのです。問題を他人のせいにすることで、自分を肯定しているのです。(p.42)

自分でやった方が早いという思考は、「自分でできる幸せ」の段階です。(p.85)

などといったように、かなり耳の痛い指摘が次々と出てきます。


組織で仕事をしていてある程度たてば、プレイヤーとしてではなく、チームリーダーとして、あるいは、部下を持つ立場として仕事をマネジメントすることになります。その時に、きちんと仕事を任せることができるかどうかが重要になります。つまり、人に仕事を任せることによって育てる、そして、まわりの人が成長することで自分も成長できる、結果として、組織としての業績も安定し、長い期間安定して成長できる。仕事を任せることは、自分自身にとってもまわりの人や組織にとっても大きなメリットがあると、著者は述べています。

「自分でやった方が早い」というのは、「短期的には」自分でやった方が早い、ということです。人生全体を見渡して、長い目で見れば、「自分でやった方が早い」という考えほど非効率で不幸なことはないのです。(p.194〜195)


そして、著者によると、この病気「自分でやった方がはやい病」は、自分自身でしか克服できないそうです。自分で考え、自分で実践することで、自分自身が成長すること。「人材育成」というと、相手を育てようと考えがちですが、相手を育てることで自分自身も成長するということを再認識しました。
病気克服のための実践は、かなり難しそうですが…。