『大向うの人々−歌舞伎座三階人情ばなし』

大向うの人々 歌舞伎座三階人情ばなし

大向うの人々 歌舞伎座三階人情ばなし


この本は、著者が、大学時代に歌舞伎に出会ってからの歌舞伎に関わる思い出、特に、「大向う」の人々との思い出を綴った本です。
歌舞伎を楽しみに、毎月のように劇場に通っていますが、今まで、見かけることはあってもよくわからなかった「大向う」の人と、大向うからの声掛けについて、この本を読んで、いろいろと知ることができました。

掛声はやりすぎると無粋になる。ほどのよい掛声で誰が聞いても「なるほど」とか「いいマだ」と感じさせることが出来れば大成功だ。「邪魔にならない掛声」とは、そういうことかもしれない。“ほめことば”も度がすぎるといやらしくなるが、いい芸の、いい役者に対する掛声は、出し惜しみしたくない。(p.219)


歌舞伎を見ていて、本当に良いタイミングで大向こうから声がかかると、客席にいる自分も良い心持ちになります。その一方で、「ここで声を掛けて欲しい」と思っている時に声がかからなかったり、何となく間の悪い声がかかると、がっがかりしたりすることもあります。外国人観光客に、掛声を「サウンド・エフェクト(効果音)」と説明をしたエピソードが紹介されていますが(p.86)、確かに、良い掛声は、歌舞伎の舞台を盛り上げる効果があると思います。
現在も、新橋演舞場などでの歌舞伎公演で掛声がかかりますが、どこか、歌舞伎座の時の掛声とは違うように感じることがあります。やはり、歌舞伎の本拠地は、歌舞伎座なのでしょうか。

もうすぐ新しい歌舞伎座が開場します。新しい歌舞伎座では舞台を見ることができるのか、そして、どんな声がかかるのか、楽しみです。