三月花形歌舞伎@ル テアトル銀座

ル テアトル銀座の「三月花形歌舞伎」に行ってきました。
筋書の市川海老蔵インタビューによると、昨年亡くなった十八代目中村勘三郎丈から教わった「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」と「高杯(たかつき)」を選んだとのこと。この2つの演目の間に、「口上」が入ります。
そして、この「口上」が、本当に良かったです。今回の演目を教わった十八代目中村勘三郎丈の思い出、そして、先月亡くなった、父親でもある十二代目市川團十郎丈の思い出を、ユーモアを交えながら、時には面白く、時にはしんみりと語ってくれました。故人2人の人柄を偲ばせる、温かみのある良い「口上」でした。


市川海老蔵の「夏祭」の団七九郎兵衛は、前に見た時よりも*1男気があって、良かったと思います。隣の年配の女性が、「(海老蔵の)脚の筋肉が素的。」と言っていました。でも、市川海老蔵が演じると、どうしても、大坂の男ではなく江戸の男に見えてしまいます。セリフ廻し(大阪弁)に難があるのでしょうか?
もう一役のお辰は、前よりも違和感がなくなったとはいえ、微妙な感じでした。釣舟三婦に「色気がある」と言われるところがあるのですが、やや色気が薄いというか…。立役だから仕方ないと思うものの…。男っぽい団七九郎兵衛と、お辰の両方を演じるのは難しいのだと思います。とは言え、お辰は自ら進んで自分の顔を傷つけるというかなり男気のある女性なので、女形が演じるのも難しいと思います。
今回は大詰で「田島町捕り物」の場があり、屋根の上での立ち回りがありました。
一方、「高杯」は、後半の高足を履いての踊りはもう少しと思いましたが、とぼけた感じが良かったです。
「夏祭」「高杯」とも、片岡市蔵中村亀鶴が良かったです。


今回の舞台は、客席通路が花道として使われました。通路は段差があり、結構長いので、いつもの花道とは違って、役者さんたち(特に、駕籠かきの人たち)は、やりにくかったのではないかと思います。一方、観客側としては、役者さんがそばを通るのがうれしかったです。今回は、たまたま通路横の座席だったので、自分のすぐ横で市川海老蔵がセリフを言っている、という、とても貴重な体験をしました。つい、じっと見てしまったのですが、手が大きく、指が長くてきれいでした。そして、通るたびに良い香りがしました。良い香がしていたのは「夏祭」の時だけだったので、役者さんがつけていた香だと思うのですが…?

*1:筋書の上演記録によると、平成21年7月の歌舞伎座でした。