『蔵書の苦しみ』(光文社新書)

蔵書の苦しみ (光文社新書)

蔵書の苦しみ (光文社新書)


書評を中心に執筆活動をしている著者が、2万冊超の蔵書とのつき合い方を述べています。
著者曰く、「蔵書は健全で賢明でなければならない」のだそうです。つまり、本は増えすぎるのは良くないことであり、自分に何が必要か、どうしても必要な本かどうかを見極めて新陳代謝を図る、つまり、自分のその時点での鮮度を失った本は手放す(=捨てるか売るかする)ことを薦めています。「理想は500冊」と言いながらも、自分の蔵書数を「ざっと2万冊」と答えてきたけれども、2千冊減らしてもビクともしないところを見ると、下手をすると3万冊ぐらい(あるいはそれ以上?)あるかもしれない、というのですから、相当数の本と悪戦苦闘(?)しているようです。
そんな著者が、本とのつきあい方についての14の教訓を各章末で紹介しているので、一覧にしてみました。

【教訓その1】本は想像以上に重い。ニ階に置き過ぎると床をぶち抜くことがあるのでご用心。
【教訓その2】自分のその時点での鮮度を失った本は、一度手放すべし。
【教訓その3】古本屋さんに出張買い取りをお願いする時は、どんな本が、どれだけの量あるかを、はっきり告げるべし。
【教訓その4】本棚は書斎を堕落させる。必要な本がすぐ手の届くところにあるのが理想。
【教訓その5】段ボールに溜めておくと、本は死蔵する。背表紙は可視化させておくべし。
【教訓その6】本棚は地震に弱い。地震が起きたら、蔵書は凶器と化すことを心得ておくべし。
【教訓その7】蔵書はよく燃える。火災にはよくよく注意すべし。
【教訓その8】本は家に負担をかける。新築の際は、蔵書の重さを概算しておくこと。
【教訓その9】トランクルームを借りたからといって安心するべからず。やがていっぱいになることを心得ておくべし。
【教訓その10】三度、四度と読み返せる本を一冊でも多く持っている人が真の読書家。
【教訓その11】実生活とコレクターシップを両立させるためには規則正しい生活をすべし。家庭の理解も得られる。
【教訓その12】紙の本を愛する人電子書籍に向かない。よって蔵書の苦しみは解決しない。
【教訓その13】地味な純文学の作品は、売ってしまっても図書館で再び出会える可能性が高い。閉架扱いを要チェック。
【教訓その14】蔵書を一気に処分するには、自宅での「一人古本市」がお勧め。うまく売るためのポイントは値段のつけ方にあり。

【教訓その6】の地震については、3・11のこともあり、気をつけなくてはいけないと思っています。自宅の本は、3・11では無事でしたが、勤務先の図書館では、書架の本が多数落下しました。高校生の時の日本海地震の時に書店にいて、ケガはしなかったものの、書架から重そうな単行本が次々に落下して、怖い思いをしたことがあります。


著者は、たくさんの蔵書に苦労していることを延々と述べていますが、結局は、そのことを楽しんでいるようにも思いました。

「本」は、中身だけで成り立っているものではない。紙質から造本、装丁、持ったときの手になじむ触感、あるいは函入りであったり、変形本だったり、それぞれの姿かたち。これらを総合して初めて「本」と呼びたい。(p.185)

函を持ち、そこから出し、読む前に触り、見る。この一連の動作に「読書」の姿勢はあり、そのためにつきまとう所有の苦労を厭わない。「蔵書の苦しみ」は、「蔵書の楽しみ」でもあるのだ。(p.185)

「本が増え過ぎて困る」というぼやきは、しょせん色事における「惚気(のろけ)」のようなもの、ということだ。(p.248)

この本を読んで、「ところで、私はいったいどれだけの本を持っている?」と思い、自分の本棚と向き合おうと思いました。最近、自分が思っている本の適量をオーバー気味なので、少し、本を手放す必要がありそうです。