『本の逆襲』

本の逆襲 (ideaink 〈アイデアインク〉)

本の逆襲 (ideaink 〈アイデアインク〉)

これは本です。しかも『本の逆襲』というタイトルの本なので、これを手に取ったあなたは、おそらく本に対して強い思いれのある、本が好きな人でしょう。ぼくも本が大好きです。

という書き出して始まる、この本。思わず、「そうそう。そのとおり!」などと思いながら、一気に読んでしまいました。


「ブック・コーディネーター」という肩書は、本と人との出会いを作る、そのあいだにあるものをコーディネートする仕事、ということで名乗り始めたということですが、そうなると、図書館で働く人も「ブック・コーディネーター」??


著者は、「そもそも本はこれからどうなるのか」、「本の未来にどんな可能性があるのか」といった、これからの本について考えるための項目として、以下の10項目をあげています。

1 本の定義を拡張して考える
2 読者の都合を優先して考える
3 本をハードウェアとソフトウェアとに分けて考える
4 本の最適なインターフェイスについて考える
5 本の単位について考える
6 本とインターネットとの接続について考える
7 本の国境について考える
8 プロダクトとしての本とデータとしての本を分けて考える
9 本のある空間について考える
10 本の公共性について考える

「本を狭い定義の中に押し込めず、あれも本かもしれない、これも本かもしれないと考えることが、これから本の仕事をするにあたっての大前提になる」と著者は繰り返していますが、これらの項目は、これからの図書館を考えるための項目としても使えると思いました。

すでに街から書店が少なくなっている現在、各地の公共図書館がその地域において唯一の「大きな本棚」になるという事態が各地で起こっています。ぼくの考える「おおきな本棚」とは、その前に立って本の物量に圧倒される経験が人を「本好き」にするような、そういう本棚です。人の知的好奇心を刺激し、本が好きな人や、興味を持ったことを本で調べるような人を増やすことは、公共性が高い仕事であるように思います。少なくともビジネスとしての書店が成り立たなくなってしまった街では、そこに暮らす人のために、図書館がその役割を担うべきではないでしょうか。(p.130)

いわゆる本を売る「書店」は平均1日に1店のペースで街から減っていくし、これからも減っていくだろうけれど、これまで見てきたような広義の本に関わる仕事、それをあらためて「本屋」と呼ぶとしたら、その「本屋」は減るどころか、むしろ増えていくだろうということです。(p.134)

というような著者の指摘は、「本がある場所としての図書館」は、地域の事情によってその役割が変わってくる、ということではないかと思いました。これは、猪谷千香『つながる図書館』(ちくま新書)でも指摘してることだと思います。

本は形を変えながら、これからもぼくたちの人生を豊かなものにしてくれる存在であり続けます。むしろその新しい形が、より豊かな「読み」をもたらしてくれることでもあるでしょう(p.176)

という意見にも、同感です。


著者によると、この本は「これから本の仕事をしようという方々、そして本の未来が気になるすべての本好きの方々に向けた、新しい入門書として書いた」ととのことで、本好きの図書館で働いている一人としては、チェックしておくべき本だと思います。