「第10回レファレンス協同データベース事業フォーラム」に参加しました(その2)

2月17日(月)に、国立国会図書館関西館で開催された「第10回レファレンス協同データベース事業フォーラム」の参加記録、後半はパネルディスカッションです。コーディネーターは、青山学院大学・小田光宏先生です。
記録は、あくまでも私がメモできた範囲内であり、文章化したことで、発言内容とニュアンスが違っている可能性もあること、また、発言者の名前まではメモしきれなかったため、発言内容のみとなることをご了承ください。


■ パネルディスカッション「教育と図書館の未来―レファレンス協同データベースと生み出す力」
小田先生より、「教育と図書館の関係を一層良いものとするために、レファ協ができることを考えていきたい。」、また、「“学校教育=学校図書館”ではない。」ということを念頭においてディスカッションを進めていきたいとして、以下の5つの視点が示され、それぞれの視点に対してパネラーが発言するという形で進められました。

  1. レファ協のどのようなしくみが、学校教育(学校図書館)に役に立つか?
  2. レファ協をどのように使えば、学校教育(学校図書館)に役立つか?
  3. レファ協学校図書館が参加することで、他の館種がどのように対応したらよいか?
  4. レファ協が館種横断的であることは、学校教育(学校図書館)にとってどのような価値があるか?
  5. レファ協学校図書館が加わることで、他の館種のこれまでの活動(公立図書館の学校支援、大学図書館の高大連携・初年次教育・学校教育研究・教育実践基盤の形成など)に変化がもたらされるか?
  1. レファ協のどのようなしくみが、学校教育(学校図書館)に役に立つか?
    • 学校図書館では、
      • 研修効果(一人職場で教えてもらう人がいない)
      • 時間短縮(同じような質問の参考にできる)
      • コメントによる指摘を受けることができる
      • 調べ方マニュアルの可能性(ブックリストとして参考になる)
    • レファ協には様々な館種の図書館が参加しており、データの信頼性が高い。回答プロセス、参考図書があるという、システムのしくみも良い。
    • レファ協を見てもらうための働きかけとしては、インフルエンサーによる口コミ効果が大きいか。
    • 学校図書館の中にも、レファ協を知らない人がいたので、学校の先生は知らないのではないか?
  2. レファ協をどのように使えば、学校教育(学校図書館)に役立つか?
    • 調べ学習で資料を提供しなくてはいけない時に役立つ
    • 共有のルールとして、個人を特定できないように、事例を読んでどこの学校のものかをわからないようにする。ルールは明文化されていないが、悩んだものはメンバーで相談し、いくつかの段階を踏んで一般公開にしている。
    • レファ協事務局)レファ協にデータを登録するにあたっては「データ作成・公開に関するガイドライン」があり、個人情報は載せない、利用者が特定できる情報は載せない等としている。
  3. レファ協が館種横断的であることは、学校教育(学校図書館)にとってどのような価値があるか?
    • 学校図書館では、レファ協がまだ知られていない。また、学校の先生が学校図書館のことを知らない。学校図書館が授業に役に立つことを知ってもらう働きかけとして、学芸大学附属図書館のデータベースがあるか。*1
    • 利用者は、館種をあまり意識しないのでは?
    • 学校図書館は一人職場で、職員は、常勤、非常勤、両方いる。
    • (阿刀田)学校は教師が中心である。学校図書館の担当には国語の教師を充てる例が少なくないが、図書館は全教科にわたるものであり、全教科を見渡せる人が担当すべきと考える。名前ばかりの司書教諭はいらない。学校司書がようやく浸透してきたが、行政に温度差があり、待遇にも差があるのが現状。学校司書は専門職であるべきで、立場の保障も必要である・
  4. レファ協学校図書館が参加することで、他の館種がどのように対応したらよいか?
    • 教育の分野にレファ協が関わることによって、レファ協のより良い形での発展につながるのではないか。
    • レファ協の参加について、従来の枠(=館)にとらわれない参加方法もあるか。
    • レファ協は、もっと外へ働きかけるべきではないか。
  5. レファ協が館種横断的であることは、学校教育(学校図書館)にとってどのような価値があるか?
  6. レファ協学校図書館が加わることで、他の館種のこれまでの活動(公立図書館の学校支援、大学図書館の高大連携・初年次教育・学校教育研究・教育実践基盤の形成など)に変化がもたらされるか?
    • 図書館のレファレンスは、クイックレファレンスでもきちんと資料にあたり、根拠を示している。
    • 開場からの「クイックレファレンスはどこまで登録すべきか」という質問に対する小田先生のコメントは、「クイックレファレンスについて、例えば、OPACを検索して回答した事例であっても、自分は登録すべきと考える。」というものでした。


基調講演と実践報告で、広がった(広がりすぎた?)内容と多岐にわたる課題を、小田先生がどう収束されるか注目しながら聞いていましたが、いろいろ課題もあるけれども、これからも、館種を超えて、レファ協を活用し、盛り上げていこう、というような形でまとまったのではないかと思います。
パネルディスカッションでは、人の問題(常勤/非常勤、一人職場など)の質問もありましたが、この話題は、今までのフォーラムで規模の小さい公共図書館専門図書館の実践事例が報告されているので、本レポートでは割愛しています。レファ協に限らず、やるかやらないかは、組織の規模などは全く関係ないと思っています。組織が大きいと、その分手続きが増えて、それなりに大変な場合もあるので…。


レファ協については、2月16日の日本経済新聞のコラムでも指摘がありましたが、データベースとして活用していくためには、まだまだ、登録データが少ないと思っています。このため、レファ協の今後の課題としては、まずはデータ登録を増やすこと。そのためには、

  • 参加館を増やす。
  • クイックレファレンスの登録を増やす。

という取組を、今後も継続して行っていくべきでしょう。*2
小田先生の、「クイックレファレンスについて、例えば、OPACを検索して回答した事例であっても、自分は登録すべきと考える。」には、私も賛成です。どういう言葉を入力してOPACを検索したかで、ヒット件数も違う場合もあるので。クイックレファレンスの登録については、「クイックレファレンスを登録しよう!(レファレンス協同データベース)」のページが参考になります。
あわせて、これからは、登録データの質の向上も必要でしょう。登録されたデータをなぞると、誰でも調査結果を再現できるよう、どうやって、その資料や回答にたどりついたかという回答プロセスや調査資料を書くこと。そして、何よりも、他の人が読んでもわかるように書くことは、基本だと思います。
こんなことを思っているのですが、現実は、なかなか難しくて…。大変だからやらない、ではなく、まずはできることをやってみる、これは、今回の実践報告でも紹介されました。そして、モチベーションを上げるためにも、例えば、登録事例が良かった時は、左下の「拍手」ボタンをポチッと押すこと
は、「みんなで手をたたこう!」の企画は終了しましたが、今後も続けていきたいと思っています。


フォーラム終了後の懇親会では、レファ協事務局や企画協力員の方々、ファーラムに参加されていた図書館の方などとお話をすることができました。

*1:東京学芸大学附属図書館のデータベース」とは、おそらく、このことかと。→「生徒のための授業に役立つ学校図書館活用データベース東京学芸大学学校図書館運営専門委員会)」

*2:こんなことを、アンケートに書きました。