『ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す』


津田大介『ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す:これからのソーシャルメディア航海術』(PHP新書)を読みました。著者の情報収集術やソーシャルメディアとのつきあい方などが紹介されていて、参考になりました。


著者によると、副題になっている「ソーシャルメディア航海術」、つまり、ソーシャルメディア時代の情報リテラシーとは、「人を見る力」や「人を選ぶ力」という要素が強くなるとのこと。そして、同時に、自分という「人」がソーシャルメディアを通じて見られていることを意識しなければならない、とのこと。
ツイッターフェイスブックは、一度に書ける文章が短く、瞬発力を要するので、特定のキャラを演じ続けることが難しく、結果として、その人の「素」(=その人の「本音」と「建て前」のような複雑な人間性)があらわになってしまう、という指摘には、なるほど、と思いました。もしかしたら、自分がツイッターフェイスブックに書き込むのに時々抵抗感を感じてしまうのは、このためなのかもしれません。*1 その上で、

これまではネットを仕事に活用するとか、ツイッターでキャリアを開拓するというと、「ソーシャルメディアでは多くの人とつながることができ、人脈を飛躍的に広げることができる」といった考え方が主流でした。
もちろん、それも間違いではないと思いますが、人間関係を構築していくうえでのソーシャルメディアの最大のメリットは、人脈を「広げる」ことよりも「深める」ところにあるとぼくは考えています。(p.16〜17)

と述べ、ソーシャルメディアでの交流は、リアルの交流とは違うアプローチで、深い人間関係をつくるきっかけになっているとしています。


私もツィッターで著者をフォローしていますが、時々、著者の本やメルマガの感想のたくさんのリツイートが流れることがありますが、これは、「著作のアップデートをしている」という感覚でやっているものだそうです。

ストック型のメディアである本は、あくまで「起点」。ソーシャルメディアを介して読者の疑問に答えたり、新たな議論が始まったりすることで、本で書いた内容にフロー的な情報が「乗っかってくる」と考えています。それを含めて、トータルなコンテンツになっていく。せっかく自分の考えをまとまったかたちで世に出すのですから、そうやってコミュニケーションすることで、付加価値が生まれると考えているのです。(p.50)

確かに、私がこの本を知ったきっかけは、著者のツィートであり、読もうと思ったきっかけは、リツイートされた様々な方のこの本に対する感想やコメントによって興味を持ったためかもしれません。


意外だったのは、成熟した情報の受け手になるために、読書を進めていることでした。私の勝手な思い込みなのかもしれませんが、著者をネット側の人だと思っていたからかもしれません。

多様な情報のなかから、自分にとって必要な情報を選び出せるようになるには、結局、自分のなかに軸をつくらなければならない。
では、その軸をつくる近道はどこにあるのか。
答えは書店になります。本屋に行って、自分が興味のある分野の単行本を買って読むことから始めましょう。軸ができれば、少なくとも自分に知識がある分野については、メディア報道の裏側を推測したり、そこに秘められた意図などもわかるようになります。すると、メディア全体に対する接し方、読み解き方も変わってくる。
それが、成熟した情報の受け手になるための第一歩なのです。(p.69)

ぼくのおすすめは、自分にとっての「情報のメンター」と言える人を見つけること。
「この人の言うことはおもしろい」「この人の情報は信頼できる」といったメンター(導師)的存在を何人かつくる。その人が本を書いているなら全部読む。その人が紹介する情報や書籍を継続的にチェックする。そういうことで、自分が情報を読み込むための軸ができてきます。(p.80)

「第3章 発する アウトプットの論点」や「第4章 伝える 発信者として突き抜ける」では、ツイッターやブログでの情報発信のコツ的なことが紹介されています。

そして、自分自身を「非コモディ化する」ために、何か1つだけを信じて突き進むのではなくて、同時並行で得意分野を4つ、5つ試してみること。やりたいことなんて、見つけようと思って見つけられるものではなく、興味のあることをとにかくやってみることで、そのなかからやりたいことがおのずと見つかってくる。…そんなことも、この本で述べています。
とりあえず、自分で動いてみることが大切なのだと、この本を読んで、改めて思いました。


「【付録1 特別対談】アルゴリズムに支配されないために 川上量生×津田大介」「【付録2 特別解説】津田大介論、あるいはパーソナルメディアの誕生 島田裕巳」も、著者の人物像を垣間見ることができて、面白かったです。

*1:私の場合、ツイッターは、情報発信よりも、情報収集に使っているかもしれません。フェイスブックは、冬眠中(?)です…。