『走れ!移動図書館』(ちくまプリマー新書)


『走れ!移動図書館−本でよりそう復興支援』(ちくまプリマー新書)、この本を読んで、東日本大震災の復興支援はまだ終わっていない、と改めて思いました。


この本には、著者が関わった「いわてを走る!移動図書館プロジェクト」の立ち上げの様子と、著者がこのプロジェクトを通じて実感したという「本のチカラ」についてが書かれています。
東日本大震災の直後の混沌とした中で、「心の栄養」である本を届ける手段として移動図書館事業を立ち上げた著者の行動力について、本当にすごい、と思いました。おそらく、この本に書ききれなかった苦労は、たくさんあったのではないかと思います。「思いは持つが、思い込みは捨てる。」、今まで積み重ねた経験を活かしつつも、一度リセットして考えることが大切だと著者は述べていますが、特にボランティア活動においてはは、思い込みは自己満足になる危険性があるように思います。


移動図書館の運営を通じて著者が感じた、「人を感じる場づくり」とか、「図書館がどこまで、記録を保存し、利用してもらうための存在であるか」とかは、現在の図書館の課題でもあります。

震災直後は必要だった支援も、数か月も続くと「自分でもできるのに」、「自尊心が失われていくようだ」と感じる瞬間があるそうです。本を自分で選んで借りること、借りた本を返すことは、非日常から日常へ戻るきっかけとなります。そして日常を感じることは、「自分は生きていること」を実感する機会になっていきます。(p.70)

図書館の仕事は本の貸し出しだけではなく、人々の今はもちろん、未来を創ること、未来を生きることを支える黒子だと考えています。(p.152)


「本の持つチカラ」について、著者は「つなぐもの」というキーワードを示しています。本は情報を伝えるものであり、人と人をつなぐもの、文化をつなぐものであるとともに、本を通じて自分の気持ちと向き合うことができる。だからこそ、本が必要であり、本を提供する場の1つとして図書館がある。
本ができることの可能性。そして、図書館の果たす役割。
図書館で働いている者の一人として、もう一度、考えてみる必要がありそうです。



写真は、2012年の図書館総合展に出展(?)していた移動図書館です。