『ファッションは魔法』

ファッションは魔法 (ideaink 〈アイデアインク〉)

ファッションは魔法 (ideaink 〈アイデアインク〉)


ファッションにはそれほど詳しくないので、この本を手にするまで、この本の著者であり、ファッションデザイナーである山縣良和さん、坂部三樹郎さんのことは知りませんでした。


「まえがき」の最後の部分、

 ファッションは、お洒落な人たちのだけのものではありません。服はブラントショップや雑誌やクローゼットの中でじっとしているわけではありません。僕たち人間と同じように謎めいていて、生命としてつねに変化し、儚く消え入り、しかし再び生まれ変わるものです。春夏秋冬で自然が刻々と生長変化していくように、いままでマネキンに服を飾ってみせるのが主流だったファッションの展覧会が、僕たちの「絶命展」以降、生命あふれる展示へと変わっていくことを願っています。そうすれば、ファッションそのものがまた新たに息を吹き返してくれると思うのです。
 死んだものを生き返らせる。それははたして魔法でしょうか。この本には、僕たちが長いあいだファッションに真剣に向き合い、ファッションの本質を探し出そうとした諸侯錯誤のプロセスや考え方を書き記しました。読んだ後にファッションの魔法が使えるようになるか、ぜひ確かめてみてください!

という文章にひかれて読み始め、一気に読んでしまいました。


お二人がファッション関わるようになったきっけかからデザイナーになってからの試行錯誤など、そしてお二人のファッションへの思いなどが綴られてられています。それぞれの表現方法であるファッションによって、自分の考えや、現代社会への疑問などを表現してきていることがわかります。

ファッションデザイナーが成し遂げたのは服だけの革命ではなく、そこに網のようにつながっている人々の仕草や価値観、生き方、つまるところ人間像の革新でもあったのです。(p.119)

人の心を最も動かせるのは、やはり人です。そういう意味でも、最後に「人ありき」というのはファッションのとても大事な要素です。服を見た瞬間、その中心に人がいることで感情移入できる。生きた人間が服を着ることで、髪や皮膚と同じようにその服も生命の一部になるからです。だから、人は人を中心に置くことによってファッションを最も身近に体感できるのです。(p.122)

だからこそ、服をデザインするうえで僕たちは感性や感情、直感といった生理的なものを大切にしたいと思っています。次なるトレンドをねらう商業鵜主義とは距離を置いて、ファッションが流行する理屈よりももっと手前にある、共感や共鳴の源泉を探る。故人の感覚に深く降りていって、生々しい服装を展示したいのです。(p.144)


ところどころに写真で紹介されているお二人の作品、モノクロなので、実際のものがどうだったのか、私が写真を見て想像したもの以上のものだったように思いました。
ファッションという表現方法を使って発信しているお二人は、デザイナーであり、クリエーターであり、芸術家? もしかしたら、一番ぴったりくるのは「表現者」??


ファッションを媒介として、いろいろと考えるヒントをくれる本でした。