第16回図書館総合展フォーラム「教育委員会制度改革を問う−図書館は「教育」にとどまるのか?」(第1部)

第16回図書館総合展は明日までですが、展示は本日で終わりました。
私は、11月4日(火)午後のフォーラム「教育委員会制度改革を問う−図書館は「教育」にとどまるのか?」と11月6日(木)の午後のキハラ株式会社100周年記念フォーラムの2つのフォーラムに参加しましたが、どちらも中身が濃いフォーラムでした。たくさんのインプットを、何回かに分けてアウトプットしてみます。あくまでも、私が聞き取った範囲の内容を再編集したものになりますので、実際の内容と齟齬があるかもしれませんが、ご了承いただきたく、また、誤り等がありましたら、ご指摘いただけると幸いです。

このフォーラムのtogetterのまとめがすでにできていますので、こちらの方がより実況中継に近いかと思います。

 図書館総合展フォーラム「教育委員会制度改革を問う」

【第1部】教育委員会制度改革の現状と展望


第1部、第2部とも、司会進行は、慶応義塾大学の糸賀雅児先生です。


■ 糸賀先生あいさつ

  • 地方教育行政の組織運営に関する法律の改正があった。
  • 法律の改正をめぐり、図書館を取り巻く状況の変化について考える場としたい。

  地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律:文部科学省


■「図書館を含む初回教育行政の現状と展望について」(文部科学省生涯学習政策局企画官 水畑順作さん)

  • 社会教育の制度、施設を担当している。
  • 金沢市出身。小学校の時から図書館を利用している。図書館に対する思いは強い。
  • 社会教育行政は、「自前主義」から脱却し、ネットワーク型の推進を目指す。社会教育は、「ハブ」の役割を担う。社会教育は、まちづくり、地域の活性化などの地域や社会の課題を扱う。他の組織や団体と連携し、学びの場を提供する。
  • 地教行法の改正は、首長部局と教育委員会部局の連携、つまり、一般行政と教育行政の連携を目指すもの。総合教育会議を活用し、すべての首長に教育について考えてもらう。
  • 成果が見えにくいからなのか、PRが下手なのか、社会教育行政は理解されにくい。待っているだけではハブになりえない。学習支援力(=学びを支援する力)もっと発揮するとともに、世間に対してPRすること。
  • 社会教育行政の中での連携をまずは図って欲しい。図書館は、社会教育課を窓口として、行政の部署や関係機関と連携するとよい。
  • 社会教育行政は、営業や御用聞きを行い、問題意識を共有することで、学びの観点から社会教育行政を使ってもらうようにする。
  • 『図書館実践事例集〜人・まち・社会を育む情報拠点を目指して〜』で、図書館の連携の取組を紹介している。どこに課題があったか、苦労した点なども紹介している。

  『図書館実践事例集〜人・まち・社会を育む情報拠点を目指して〜』

  • 市民からの意見の把握の仕方について。アンケートや協議会には限界がある。マルチステークホルダー、つまり様々な立場からの意見集約が必要で、企画段階から市民(団体)の意見を聞く。市民が希望していない講座を実施しても市民は集まらないし、自分たちのことでなければ情報も伝わらない。
  • 郷土資料、行政資料、地域資料等のそれぞれの自治体に関する資料が図書館にあり、その地域にはどういうリソースがあるかを知ることができる資料である。これらの資料を地域創生に役立てることができると思うが、どう使ったらいいか、司書自身がわかっていないのではないか。
  • 地域創生に社会教育行政がうまくかかわっていきたい。明確なターゲットを持って取組むことによって、図書館(社会教育行政)が役に立つことを知ってもらえるのではないか。


■「教育委員会制度の中の図書館〜現地レポート〜」(猪谷千香さん)

  • 社会教育行政改革について、図書館の人は、あまりピンときていないのではないか。
  • 教育委員会制度改革の背景について。2011年の「大津市いじめ事件」がきっかけと言われているが、教育委員長と教育長のどちらが責任者であるかとか、縦割り行政であるとか、導入当初より課題があった。
  • 教育委員会から首長部局へ移管される図書館が少しずつ増えている。
  • 首長部局に移管された図書館の例

  (1)千代田区千代田図書館
  (2)江戸川区立篠崎子ども図書館
  (3)(岩手県紫波町図書館

  • 愛知県田原市教育委員会の改革について。「打って出る」、「顔の見える」教育委員会を目指す取組。
  • 神奈川県立図書館問題について。県が「閲覧廃止」を打ち出し、県教育委員会が、県立図書館を法律上の図書館の適用から除外する再編案を検討。
  • 現場の図書館運営と、図書館のガバナンスが問われている。


■ 第1部のまとめ(糸賀先生)

  • 図書館雑誌』(2014年2月号)の記事は、改正法が可決する前に書いたものである。
  • 社会教育行政の見直しについて。なぜ社会教育は教育委員会が主管しなくてはいけないのか。
  • 学校教育は、対象も学ぶ内容も決まっているのでわかりやすいが、社会教育は、対象とする年齢層も学ぶ内容もバラバラで、主体的に学ぶものであることから、わかりにくい。
  • 社会教育行政の主である社会教育主事のあり方について。社会教育主事は、教育委員会では必置だが、社会教育主事を置いていない自治体が増えている。社会教育主事を必置とする必要があるのか。
  • ネットワーク型行政において、まちづくり、男女共同参画、防災対策などの地域の課題についての首長部局と連携・協力は、社会教育主事に必要とされる能力である。
  • 司書の配置は増えている。ただし、正規の司書は減っている。社会教育主事は、教育公務員と位置付けられている。図書館の司書は、社会教育主事よりも高く位置づけられることはない。
  • 社会教育主事は、日本固有のもの。海外に、相当する身分・資格がない(=国際的に通用しない)。
  • 「地域の中で人を育てる」ことは、図書館、公民館といった施設の中だけで行われるものではない。地域の中の学びの場と施設をつなげることが必要。
  • 図書館は、一番よく利用される施設である。図書館をうまく活用し、考え、行動する人を育てるとするならば、司書は社会教育主事以上の役割を持つことになる。
  • 「自前主義」には限界がある。「自前主義」からの脱却が必要。司書の新しい役割は、地域課題の現場に出向いていくこと。そして、司書が首長部局の職員とわたり合えるようになることが必要である。
  • 社会教育推進体制の在り方に関するワーキンググループにおける審議の整理について。結論としては従来どおりだが、どういう論議が行われたかは押さえておく必要がある。

以上が第1部。休憩をはさんで、更に熱い第2部になります。