六本木歌舞伎「地球投五郎宇宙荒事」@EX THEATER ROPPONGI

六本木歌舞伎「地球投五郎宇宙荒事(ちきゅうなげごろううちゅうのあらごと)」を観てきました。宮藤官九郎の脚本、三池崇史の演出で歌舞伎がどうなるか、期待半分、不安半分で劇場に足を運んだのですが…。面白かったです! 


昨年1月の新橋演舞場の楽屋での市川海老蔵中村獅童の雑談から始まったというこの企画。発端の場面でその様子を舞台で見せます。話をしながら化粧をし、衣装を身に着けていく様子は、普段はなかなか見られない舞台裏の様子を見せるという趣向。その合間にも、海老蔵スマホで写真を撮ったり。時々ブログで見かける客席の写真は、舞台の上で撮っていたものでした。
「歌舞伎は何でもあり」だと思ってはいますが、まさか、宇宙人が舞台に出てくるとは思ってもいませんでした。中村獅童演じる駄足米太夫は、「スターウォーズ」のダースベーダ−を歌舞伎に置き換えたものなのか、出てくる時のテーマ音楽が、三味線によるダースベーダ−のテーマでした。そこに、鎌倉権五郎に扮した市川海老蔵が「し〜ば〜ら〜く〜」と出てくる場面の「腹出し」(宇宙人の手下なので、赤ツ面ではなく、緑色の顔)の受け「し〜ば〜ら〜〜く〜」のセリフ回しが「未知との遭遇」のテーマ風でした。それでいて、これは歌舞伎のあの場面だろうか、と思うようなところもあったりで、荒事を宇宙規模にするとこうなるのか、と思いながら、舞台を楽しみました。舞台照明も宇宙の雰囲気をうまく出していたと思います。何よりも圧巻は、最後の「地球投げ」でしょうか。

プログラムに掲載されている座談会で、故中村勘三郎市川海老蔵に「地球投げをしろ。」と言っていたというエピソードは、関容子『勘三郎伝説』(文藝春秋 2013年)の「第6章 二十二歳下でも海老蔵は友だち」に出てきます。この中で、市川海老蔵の父親である市川團十郎も地球投げと同じようなことを言ったことがあるということは、同著者の『海老蔵そして團十郎』(文藝春秋 2004年)で、

だから片手で地球を持ち上げたって、投げ飛ばしたって構わない。(p.174)

それを今やって見せてももうパッとしない。現代の感覚でいくと、地球を蹴とばして、土星をちょっと輪投げのおもちゃにして、太陽でタバコの火をつて……ね。これはいいや(笑)。大きい舞台になるなぁ。(p.174〜175)

で紹介されています。


勘三郎伝説

勘三郎伝説

海老蔵そして團十郎

海老蔵そして團十郎



客席は、歌舞伎公演にしては、若い人が多かったと思います。歌舞伎ファンと思われる、着物姿の人もいましたが。私が行ったのは平日の夜の公演だったので、ビジネスマン風の人が多いような気がしました。


モダンな表紙につられて買ったプログラムは、市川海老蔵中村獅童の写真がたくさん収録されています。市川海老蔵の行動力が生んだ六本木歌舞伎ですが、様々な人を巻き込む能力もすごいのではないかと思いました。