『無印良品は、仕組みが9割』


無印良品の商品は、私もいくつか愛用しています。“無印良品らしさ”というのでしょうか。シンプルだからこそ、いろいろな使い方ができる商品、余計な装飾や色のない商品、定番の商品が置いてあるという安心感*1などが、おそらく、私が無印良品で買う理由のように思います。MUJI passportも登録しています。


この本を読むまで、無印良品の業績が悪化し、不振にあえいでいたということを知りませんでした。そして、業績回復のために著者が取組んだのが、仕組みづくり、「努力を成果に結びつける仕組み」、「経験と勘を蓄積する仕組み」、「ムダを徹底的に省く仕組み」を作ることだったそうです。
無印良品には、無印良品の店舗で使っているマニュアル「MUJIGURAM」と、店舗開発部や企画室などの本部の業務をマニュアル化した「業務基準書」という2つのマニュアルがあり、この2つのマニュアルには、経営から商品開発、売り場のディスプレイや接客まで、すべてのノウハウが書かれているそうです。

 これほどの膨大なマニュアルをつくったのは、「個人の経験や勘に頼っていた業務を“仕組み化”し、ノウハウとして蓄積させる」ためです。
 ではなぜ、個人の経験と勘を蓄積させる」ためです。
 「チームの実行力を高めるため」というのが答えの一つです。仕事で何か問題が発生したとき、その場に上司がいなくても、マニュアルを見れば判断に迷うことなく解決できる。たったこれだけのことでも、仕事の実行力が生まれ、生産性は高まるでしょう。
 メリットはそれだけではありません。
 マニュアルの各項目の最初には、なんのためにその作業を行うのか――「作業の意味・目的」が書いてあります。これは「そのように行動するか」だけでなく、「何を実現するか」という仕事の軸をぶれさせないためです。
 作業の意味を理解できれば、、問題点や改善点も発見できるようになります。マニュアルは、実行力を養うテキストであり、自分が「どう働くか」を考えるための羅針盤にもなるのです。(p.14〜15)


このような考え方で作られたマニュアルには、仕事の細部、「それぐらい、口で言えばわかるのでは?」と思われるようなことまで明文化しているのだとか。これは、個人個人で判断して処理しがちな“細部”を社内で統一し、お客様がどの店舗に行っても同じような雰囲気の中で、同じサービスを受けられることを目指しているからとのこと。そして、マニュアルには、毎月更新されているとのこと。

過去の無印良品では、個人の個人のセンスや経験に頼っており、店長の数だけ、店づくりのパターンがあったそうです。これではお客様に満足いただける環境や商品を提供できないのではないかという危機感が、合理的な仕組みを作ることに取り組むきっかけになったそうです。

 そもそも、ビジネスモデルが世の中のニーズと合わなくなっているから業績が悪化しているのであり、社員の意識だけを変えようとしても根本的な解決にはなりません。
 ビジネスモデルを見直して、それから仕組みをつくっていく。
 その仕組みの納得して、実行するうちに、人の意識は自動的に変わっていくものなのです。
 この順番が間違っていると、せっかくの改革もムダに終わってしまいます。本質的な部分から着手しないと、抜本的な改革は実現できないのです。(p.47)

そもそもマニュアルは社員やスタッフの行動を制限するためにつくっているのではありません。むしろ、マニュアルをつくり上げるプロセスが重要で、全会社員・全スタッフで問題点を見つけて改善していく姿勢を持ってもらうのが目的なのです。
 社員がマニュアルに依存してしまっているとしたら、そのマニュアルのつくり方や、使い方に問題があるのでしょう。
 マニュアルをつくること自体は問題ではなく、方法が悪いのです。(p.70)

 肝心なのは、どのように行動するかではなく、何を実現するかです。どのような売り場をつくるか、どのようなサービスを提供するか、どのような商品をつくるかを常に念願に置いて仕事を進めないと、ただ言われたことをこなすだけになってしまいます。
 これは「どのような会社にしたいか」「どのようなチームにしたいか」「どのような仕事をしたいか」という理念を浸透させるうえでも大切ね考えです。(p.86)

 マニュアルをつくることで、今まで暗黙の了解の上で成り立っていた業務の問題点が見えてきます。社員からの意見や提案によって、一つひとつ改善が重ねられていき、今までの仕事の仕方がより合理的になっていきます。このような循環が生まれた時、初めて血が通う仕組みになるのです。(p.106)


マニュアルをつくるメリットを、著者は5つ紹介しています。

1 「知恵」共有する
2 「標準なくして改善なし」
3 「上司の背中だけ見て育つ」文化との決別
4 チーム員の顔の向きをそろえる
5 「仕事の本質」を見直せる


たくさん引用してしまいましたが、著者は、マニュアルを作ることで仕事を俯瞰し、自分で問題点や課題を発見し、改善し、実行することで、自分をアップデートできると述べています。

私自身、仕事をしていて、マニュアルは必要だと考えています。そして、マニュアルは一度作成したら感性ではなく、仕事をしながらマニュアルを見直し、改善していかなくてはいけないと思っています。


ここ数年で、先輩職員が退職し、若手職員が増えました。先輩職員から教わったこと、自分で学んだことを、若手職員にどのように伝えていくかが課題となっています。とりあえず、自分が当たり前のようにやっている業務などを少しづつ文章化していくことを始めていますが、これは、業務の再確認になり、課題が見つかることもあります。そして、やらなくてはいけないのは、なぜこの業務が現在の形で実施しているのかという過去の歴史を調べておくこと。新しいことに取組む場合は、特に、その経緯がわからないといけません。そのためには、この本でも述べられていますが、書類の整理が必要です…。

*1:時には、お店になかったり、いつの間にか廃版になったと思われる、見かけなくなった商品もありますが。