「図書館の実力を左右するヒトのちから〜人材育成のTRCライブラリー・アカデミー〜」@第17回図書館総合展

昨日のエントリーに引き続き、11月10日(火)に行われたフォーラムの参加記録と感想です。
なお、記録は、あくまでも私が当日メモしたものがもとになっています。聞き取れなかったり、メモしきれなかったこともありますので、ご了承ください。こちらも動画が見られるようです。

 フォーラム「図書館の実力を左右するヒトのちから〜人材育成のTRCライブラリー・アカデミー〜」
 講師:平賀研也(県立長野図書館長)
    宮下明彦(長野県図書館協会常務理事・事務局長)
    山下洋輔(千葉県柏市議会議員)
    高山正也(ライブラリー・アカデミー、元国立公文書館館長)


高山正也(ライブラリー・アカデミー、元国立公文書館館長)

  • このフォーラムでは、どういう人が公共図書館に必要なのか、どういう風に人を育てていくのかなどについて、問題提起をしていきたい。


平賀研也(県立長野図書館長)

  • 「『脱(ポスト)・市民の図書館』時代の図書館とヒト」ということで、情報と情報、情報とヒト、ヒトとヒトをつなぎ直すことについて話す。
  • 県立長野図書館の館長は今年の4月からで、その前は伊那市立図書館の館長(2007年4月〜2015年3月)、その前は公共シンクタンクの研究広報紙の編集主幹等をしていた。2002年に伊那市に移住した。
  • 地方都市では、ヒトと情報のミスマッチが起きていて、つなぎ直す必要があるのではないか。
  • 今までの図書館では、資料の提供(貸出、児童サービス、全域サービス)行ってきたが、社会環境が変化し、運営の仕方も変わってきた。図書館は何のためにあるかを考えた場合、原点回帰で、「知る」を提供することになると考える。具体的には、「デジタル情報基盤」「情報リテラシー」「知的創造の場」「コラーニング」という、新公共空間を体験する図書館。
  • 図書館の日とは、新しい「知る」スタイルを対応するために、以下のスキルが必要と考える。
    • デジタルメディア、コンテンツを扱うスキル
    • 情報リテラシー向上を支援するスキル
    • ファシリティーションスキル
    • 共同体(地域のもの・こと・ヒト)に関するスキル
    • 情報の再組織化・キュレーションのスキル
  • 図書館のことは図書館がやるということを外し、能力のある人を外から連れてきてはどうか。


宮下明彦(長野県図書館協会常務理事・事務局長)

  • これからの図書館職員に求められる資質と専門性は、以下の3点。
    1. 外部と協力する力
      • 人脈力、組織化する力が図書館職員にも求められているのではないか。
      • 地域の知的人材が出入りする場が図書館であるが、その人達と図書館職員の接点がない。そして、その先達から学ぶ徒弟的学習姿勢が必要。
    2. 館外サービス力
      • 学校教育への支援として読書支援(ブックリストの作成、読み聞かせ等)は行っている。
      • これからは、学校図書館とのつながりが必要ではないか。調べ学習の支援として、パスファインダー作成の支援をどう行っていくか。
    3. 館長の公募・スカウト(館長力)
      • 公共図書館の7、8割は行政・職で、図書館のことを知らない。2年くらいで異動したり、退職間際だったりで、図書館職員を育てることができない。
      • 館長の仕事は、職員を育てること。
      • 館長の公募・スカウトが増えている。人件費が安く済むし、市民レベルでは、サービスが向上するのが良い。公募・スカウトについて、制度化されていない。公募・スカウトの館長の個人プレーで終わるのではなく、どう継承させ、定着できるかが課題。


山下洋輔(千葉県柏市議会議員)

  • 大学時代に歴史の研究をしていて、図書館を利用した。司書の資格を持っている。教員になったが、大学院に入り直した。その時に「まちなかカレッジ」の運営に関わり、市会議員になった。
  • 歴史研究の中で図書館・博物館に関わり、それぞれの地域の情報をどう保存し、伝えていくか考えることになった。
  • 学校教育では、「なぜ本を読むか」というだけではなく、本を含めた様々な情報にどう接していくかという情報リテラシー教育が必要だと考える。つまり、その地域の課題を自ら発見し、学び、解決していくということ。課題解決のノウハウを図書館から発信していってはどうか。
  • 柏市では、駅前に図書館を建設する計画がボツになり、正規図書館職員の採用もストップしている。
  • 例えば、「一箱古本市」や「パブリック・クロッシング」などの本に関することに、図書館がどう関わっていくか。
  • 「図書館がなくなったらどういうことになるか」を考えてはどうか。


質疑応答

  • これからは、館内でサービスする活動だけではなく、地域でサービスする活動が必要であり、学校がそのターゲットになる。地域の人を図書館サービスに取込んでいくほか、図書館員が外へ出て行く。
  • 資料のデジタル化に関して、美術館の学芸員、図書館の司書、公文書館アーキビストの境界がなくなってきている。同じ対象に対して同じ能力を発揮しなくてはいけない。
  • 学校図書館との連携について、今まで図書館がやってきたものは読書支援で、教育支援は不十分。公共図書館も学力アップにつながる支援をしなくてはいけないか。情報リテラシーの底上げをする役目を図書館は持っているのでは。
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ここ数年、勤務館では、先輩職員が退職するとともに、若手職員が増え、気がつけば、自分が若手職員を育てる立場になっていました。若手職員をどう育成していくかが自分にとっての課題でもあることから、何かヒントが得られるのではないかと期待をして参加しました。
フォーラムの振興プログラムとして、

  • 職員の役割:図書館の価値をいかに一般市民に知らしめるか
  • 職員の保有すべき資質と能力:資格、経歴、学歴、研修経歴等
  • 職員に何をしてほしいか、どうあるべきか
  • 図書館ではたらく人に要求されることは

が示されていました。図書館長として、あるいは市民(市議会議員)として図書館職員の資質や能力、職員の育成について、どのようなことを考えているか、図書館職員をどう育成していきたいと考えているのか等、図書館職員に対する具体的な考えが聞けるかと期待していたのですが、そのような話はなかったのが残念です。