『図書館超活用術』


奥野宣之著『図書館超活用術−最高の「知的空間」で、本物の思考力を身につける−』を読みました。著者が想定するのは、ビジネスマンのように思いますが、図書館の中の立場で読んでも、「図書館はこう見られているのか!」というヒントを得ることができました。


帯の図書館の写真*1がカッコよくて、「ネットにはない『場としての力』をフル活用せよ!!」とか、「これからの時代、『図書館活用術』が最強である!」など、図書館関係者としては見過ごすことのできない、刺激的なコピーが並びます。

著者は、小さい頃から図書館をよく使っていて、社会人になっても、図書館を結構利用していたようです。そして、もっと図書館を使いこなすために「社会人向け司書講習」を受講し、司書の資格を取ったそうです。そして、著者が確信したことが、

普通に本を借りているだけでは、図書館を「永久に」使いこなせるようにならない。(p.13)

であり、

 公共図書館には「利用者の求めるサービスをする」という方針があるだけで、「利用者を育てる」という発想がありません。そのため、利用者は永久に「本を借りるだけ」にとどまってしますのです。
 ここから抜け出すには、図書館から提供されるサービスに満足するのではなく、「こういうこともできるのでは?」「アレにも使えるんじゃないか?」と主体的かつ能動的に図書館を使うことです。こうして初めて図書館の能力を引き出せます。
 つまり、利用者はもっとアグレッシブになる必要があるのです。(p.14)

ということです。
そのために、本書では、図書館スタッフに頼らず「ほぼ独力」で図書館を使いこなすためのノウハウを書いた、とのことです。


本書を読んで、著者は、本当に良く図書館を使いこなしているな、と思いました。しかも、自分が利用できる図書館のポートフォリオを自作し*2、その日の目的や気分によって複数の図書館を使い分けているようです。これは、著者が大阪府堺市在住で、複数の図書館を利用しやすい環境にあるからだと思いますが、東京の図書館に勤務する私も、複数の図書館を目的によって使い分けている方に出会ったことは少なくありません。
図書館の本の分類記号であるNDCの活用や、レファレンスコーナーやテーマ棚の活用、図書館の本のコピーの取り方、行き詰った時の館内ブラウジングなど、著者なりの図書館活用術で、図書館の中の人間としても、図書館をこういう風に使っていただけるとうれしいかも、という図書館利用法が紹介されています。


もちろん、独力で調査をしても良いが、図書館員に相談することで早く解決する場合もあるとして、レファレンスサービスの活用をお薦めしています。そして、レファレンスサービスを利用する際は、
「レファレンスサービスをお願いします。」
とはっきり言うのが良いとか。また、レファレンスのサービスのレベルの高い図書館員を覚えておくとよい、とも述べています。電話やメールでのレファレンスは、対応する図書館職員を選べませんが、カウンターの時には、もしかしたら、当番の職員を選んでいるかもしれない、と思うことがあります。

 最近の図書館では、横柄なスタッフはほとんど見なくなりました。
 しかし単に館内がキレイで、スタッフの愛想が良ければ「熱心な図書館だ」というわけではありません。
 図書館が熱心かどうか、それがいちばんよくわかるのは、資料を提供しようと手を尽くしてくれるかどうかです。(p.212)


「あとがき」で、著者は、「図書館は使いこなしてナンボ」であり、「図書館サービスは利用者の姿を反映する」とも述べています。

 一人ひとりの利用者が、本気で「自分の人生に本当に役立つ情報」を求めて図書館に足を運ぶようになれば、提供する側のサービスも高度化し、さらに図書館がりようしやすくなるーーそんな「いい循環」が起きるでしょう。
 この本によって、そんな「シビアな利用者」少しでも増えることを願っています。(p.217〜218


この本を読めば、「図書館に行ってみようかな?」と思う人が増えるのではないか、と淡い期待を抱いています。
ゴールデンウィークも前半が終了しましたが、公共図書館は、ゴールデンウィーク中も開館していますので、ぜひ図書館をもっと利用して欲しいと思っています。

*1:メキシコのホセ・ヴァスコンセロス図書館だそうです。

*2:利用案内やか館内で配布しているデータベース案内等をファイリングして作成するそうです。