新春歌舞伎公演@新橋演舞場


新橋演舞場で行われている「新春歌舞伎公演」に行ってきました。
私は、Aプロ(午前11時開演)とBプロ(午後4時30分)を別々の日に観劇しましたが、どちらも満員御礼で、話題の舞台であることがわかります。新橋演舞場はロビーが狭いのが残念なところだと思っているのですが、お正月だということで、海老ののった大きな鏡餅と羽子板*1が飾ってありました。


Aプロは「天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)」「口上」「鎌倉八幡宮静の法楽舞」の3本。病気から回復した中村獅童が初役で天竺徳兵衛を勤めます。中村獅童の特徴的な風貌は、天竺徳兵衛に不思議に似合っていたように思います。巨大な蝦蟇の動きがどことなくユーモラスだったり、宙乗りでの葛籠抜けなど、見所はたっぷりあり、客席も大いに盛り上がりますが、見所をつなぎ合わせた感じもしたので、再演の際にはもう少し流れを整理しても良いように思いました。
「口上」は、座頭である市川海老蔵の新年のご挨拶と「にらみ」の披露。短い時間ですが、市川海老蔵の天下一品の「にらみ」を見られたことで、客席は大満足です。「浮世絵みたい。」という声も聞こえました。
九世市川團十郎生誕百八十年を記念されて上演された「鎌倉八幡宮静の法楽舞」は、復活された舞踊劇で、市川海老蔵の七変化と、河東節・常磐津・清元・竹本・長唄の掛け合いに筝曲も加わるという舞台でした。静御前源義経を早変わりで見せる場面は、吹替で見せる時間が長かったのが残念でした。


Bプロは、「通し狂言 日本むかし話」で、以前、シアターコクーンの「ABKAI」で上演された「竜宮物語」「桃太郎鬼ヶ島外伝」「疾風如白狗怒涛之花咲翁物語。」に、「かぐや姫」と「一寸法師」の物語が加わりました。おなじみの「日本昔話」を歌舞伎をアレンジしたもの。中村梅花のおばあさんが子供たちにお話を聞かせる、というストーリーテラー役を配したこと、それぞれの話に「鬼石」という不思議な石が絡んでいることで、昔話をつなげたのはおもしろいアイディアだと思いました。また、映像がとても効果的に使われていました。
「疾風如白狗怒涛之花咲翁物語。(疾風のごときしろいぬどとうのはなさきおきなのものがたり。)」では、桃太郎のお供について鬼ヶ島に行った犬が、実は花咲か爺さんの犬が同じだったという設定で犬の「シロ」を市川海老蔵が務めます。そして、「ここほれ、ワンワン」で掘り出したのが「鬼石」で、シロの呪文で、市川笑三郎演じるセツ婆の病気も治り、金銀が湧いて出ます。これを見て鬼石を奪い取ったのが、中村獅童が務める悪いお爺さん・得松爺。シロに「呪文を教えろ」と脅迫しますが、海老蔵演じるシロが教える嘘の呪文は毎日アドリブのようで、獅童の病気回復や長男誕生などを盛り込みつつも楽屋落ちネタ満載で、獅童が笑いすぎて舞台が止まるというハプニング(?)もありました。
最期にシロは殺され、灰になってしまいます。シロの灰を枯れた桜にまくと、桜が咲くというおなじみの場面で、シロの海老蔵宙乗りで引っ込んで行くのですが、その際に、客席に大量の桜の花びらが舞い散りました。1階席の最前列の通路は桜の花びらピンク色になっていました。私も、自分の近くに落ちた花びらを何枚か持ち帰りました。
そして、話題は、市川海老蔵の長女・堀越麗禾ちゃんが、幼少のかぐや姫を演じるということ。今回は、台詞も多く、踊りもありましたが、しっかり務めていて、客席からは、大きな拍手が寄せられました。
また、今回、「一寸法師」で中村鷹之資が踊りを披露しています。舞台装置は奇妙な感じでしたが、踊りは上手でした。


見終わて、今回の舞台は、歌舞伎初心者でもわかりやすい構成で、見所も多かったように思います。
ただ、個人的には、市川海老蔵には歌舞伎座義太夫の舞台を勤めて欲しいと思っています。もちろん新作も良いのですが、成田屋の代々が務めた義太夫の役の数々も見たいと思っています。
(今月の筋書と、持ち帰った桜の花びらを並べて撮ってみました。)


*1:「三番叟」がモチーフのようです。