海老蔵の5役@新橋演舞場 新春歌舞伎公演

 

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1月は歌舞伎公演が多い月です。

今年も、歌舞伎座のほか、新橋演舞場国立劇場、浅草公会堂で歌舞伎公演が行われています。スケジュール的にも、予算的にも、すべての公演を観ることは難しいので、毎年、演目、配役を見て、どこに行くか決めています。今年は、歌舞伎座の昼の部と夜の部、新橋演舞場の昼の部と夜の部にしました。

 

 新橋演舞場は、市川海老蔵を座頭にした公演です。ここ数年は、新作が多かったと思います。今年は新作舞踊はあるものの、歌舞伎のおなじみの演目が並び、しかも、市川海老蔵は、昼と夜で5役を勤めるという大奮闘です。昼の部に比べて、夜の部が長すぎるという、演目の組み方にアンバランスがあったようにも思いますが、見ごたえがあったと思います。

劇場も、入口に鏡餅や羽子板が飾られたり(冒頭の写真*1)、ロビーに繭玉が飾られたり、お正月らしく、華やかな雰囲気でした。

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幡随院長兵衛(昼の部)

『極付幡随長兵衛』の幡随長兵衛は、平成25(2013)年の「新春浅草歌舞伎」で初役お勤めた際に、父・十二世團十郎に教わった役だそうです。この時の長兵衛を観ていますが、その時よりも、貫禄がついたように思いました。欲を言えば、町奴を束ねる親分として、多くの子分たちに慕われる人間としての大きさというものがあると良くなるのかもしれません。死を覚悟して水野邸に行く時の決意や、家族や子分たちとの別れの悲哀もしっかり演じられていました。

長兵衛の息子・長松役の勸玄くんもしっかりと勤めていました。

 

傘売り三すじの綱吉実は石川五右衛門(昼の部)

新作舞踊『三升曲輪傘売(みますくるわのかさうり)』は、マジックを取り入れた楽しい舞踊でした。海老蔵が勤める「傘売り三すじの綱吉実は石川五右衛門」の衣装に、様々な大きさの傘が隠されていたようです。舞台で踊りながら、次々と傘を取り出すたびに、客席からどよめきのような声が出ていました。

 

鳶頭(夜の部)

十一世市川團十郎生誕百十年と冠した舞踊『牡丹花十一代(なとりぐさはなのじゅういちだい)』。海老蔵の鳶頭は、江戸前ですっきりした男ぶりでした。

でも、この舞踊の注目は、海老蔵の子供たち-麗禾ちゃんと勸玄くん。麗禾ちゃんの方が、お姉さんの分、踊りもしっかりできていたでしょうか? 顔立ちは、お母さんの麻央さんに似ているように思いました。

 

俊寛僧都(夜の部)

今月の歌舞伎公演の演目と配役を見た時に、私が一番驚いたのが、俊寛海老蔵が初役で勤めるということでした。どうしても昨年9月の歌舞伎座での、吉右衛門の素晴らしかった「俊寛」のイメージがあって、成田屋俊寛という役が結びつかなかったのです。インタビューによると、海老蔵が「俊寛」のドラマ性に感銘し、新たな役に取組みたいと思って、この演目を選んだようです。

見終わって、「こういう俊寛もありか。」と思いました。時々、俊寛を演じる海老蔵から野性味が感じられて、それを「都に帰りたい」と願う俊寛の望みの表れと見るのかどうかは評価が分かれるかもしれませんが。

歌舞伎というよりも、実写風の俊寛でしたが、教わったとおりに、非常に丁寧に演じていました。

 

小姓弥生後に獅子の精(夜の部)

「春興鏡獅子」は襲名公演の時など、何度もやっていると思っていましたが、インタビューによると、久しぶりに勤める役とのこと。1日の最後に5役目として「小姓弥生後に獅子の精」を勤めるのは体力的にもきついと思うのですが、本人は「体力には自信がある」と語っていたとおり、しっかりと勤めていました。私自身、初役で勤めた時から何度か観ていますが、おそらく、今回が一番良かったと思います。後半の獅子の精が良いのは当然として、小姓弥生がかわいらしくなりました。最初の頃は、「ごつい…」という印象があるので…。

「春興鏡獅子」の踊りについては、十八代・中村勘三郎が本*2で、後段の獅子よりも、前段の小姓弥生の踊りの方が、中腰で決まるポーズがあったりするので、大変だと言っていたと記憶しています。

今回は、福太郎、福之助兄弟が蝶の精を勤めていましたが、将来、海老蔵團十郎)が「春興鏡獅子」を上演する時は、子供達が蝶の精を勤めることもあるのだろうか、などと思いながら観ました。

 

團十郎襲名

昼の部の公演の休憩時間に、3階ロビーに、14日に配られたという「かわら版」を拡大したものが貼られていました。

夜の部を観たのは、團十郎襲名発表の前だったのですが、海老蔵の舞台を観て、いつも以上に1つ1つの役を丁寧に演じているように思いました。もしかしたら、私の想像ですが、團十郎を襲名するという覚悟を持って演じていたかもしれません。そんな、心境の変化のようなものが、感じられました。

團十郎を襲名することで、市川海老蔵が、歌舞伎役者として、さらに大きくなるのではないか、素晴らしい舞台を見せてくれるのではないかと期待しています。

 

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*1:鏡餅はお正月限定だったようで、先週末、昼の部を観に行った時はありませんでした。混雑するロビーで、人波が途切れた一瞬のすきに、写真を撮ることができました。今年は連獅子の羽子板です。昨年は、三番叟でした。

*2:確か、『鏡獅子三代 勘九郎の挑戦』という本だったと思います。